今日は親父の命日でした。
お墓参りをし手を合わせると、様々なことが頭をよぎります。
やはり一番に浮かぶのは仕事のことです。親父との仕事上のやり取り、またそこから学んだこと、そして親父の仕事に対する考え方・・・
親父は当然社長でしたが、私の親父の印象は経営者というより職人でした。
親父の仕事での優先順位を考えると一番は良い実印を彫ること。そしてその価値を伝えること。だったでしょうか。
ま、本人はどう言うか分かりませんが。
そしてそんな今日、市内を運転していますとこんな看板が。
「良い家は大工で決まる」
なんか親父からのメッセージのように思えましてね。
親父がこだわってたものづくり、そしてこの言葉がなんとなく繋がったんで、置き換えて考えてみました。
良い実印は職人で決まる
お客様が何か制作を依頼する場合「接客」と「制作」が高いレベルにあってこそ、満足度が上がると思います。
そして印章業と言われる職種は比較的「接客」と「制作」が分かれてる場合が多いんですね。
つまり受注はお店の方、彫るのは職人さん。
受注と制作が異なるのは自然の流れだと思います。だってお客様とのやり取りが得意な方もいれば、黙々と彫るのが得意な方もいますから。
つまりそれぞれに得意分野を最大限に活かしたのが分業制ってことになります。
対して鈴印では、社内で受注から制作まで行います。
もちろん職人である私も接客をしますが、その利点としてお客様との意思の疎通がはかりやすいってのがあります。
お客様と作り手が直接ですから、お客様の考えも伝わりやすいですし、また作り手である私の考えも伝わりやすい。
誰でもそうですが、お客様として何かを作ってもらう際は、自分の思いや考えを知ってもらいたいですよね?
その思いや考えやを吸い上げた上で作品に反映してもらいたい、って思いは必ずあると思います。
なので時間が許す限り私もお店にいて、何か不安な点があった場合にはその場で解決できるようにしています。
話がだいぶそれましたが言いたいのは、ものづくりである以上まずはお客様とのコミュニケーションが不可欠というコトです。
じゃないと一方的な押し付けになってしまいます。
しかしどんなにコミュニケーションが取れても、最終的に仕上がりを最も左右するのは職人の技量です。
じゃないと接客は良いけど味はイマイチなお店になっちゃいますから。
つまりどんなに一生懸命ご注文を受けても、またどれだけ一生懸命彫ったとしても、そもそも技量がなければプロとは言えない。
だからそのために腕を磨け。
そういえばそんな風によく言われてましたね。
まとめ
どんな世界でもそうですが、モノを作る職人さんの技量は人によって大きな差があります。
ただし実印の場合、一般の方にはその差を見極めるのは非常に困難です。
だから私の親父はそれをこんな風に表現していました。
「ウチで彫ったモノを他のお店に持って行って見せてください。必ず褒められますから。」
その位技術に自信を持っていましたし、また私もその親父に徹底的にしごかれました。
当時はあまりに要望のレベルが高くて本当大変でしたが、今となっては財産です。
鈴印の柱はやはり、親から子へプレゼントして何十年も安心してお使いになれ、また捺印の際には誰もが良いと思えるクオリティの印章を作り続ける。
これが鈴印の基本中の基本。
今一度、しっかり足元も見つめ直す、良い機会になりました。