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印章技能士の肩書きの見方

  1. 印鑑の物話
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私は常々こちらのブログで、印章は職人さんによって仕上がりがかなり違うと申していますが、なかなか技術の差を目で見て測れる方は少ないと思います。
ま、どっちかっていうと特殊技能ですからね。

なので今回は鈴印に飾ってある賞状を元にご説明したいと思います。

 

印章技能士の肩書きの見方

肩書き

密かに飾りきれない位の数の賞状はありますが、店頭に賞状がたくさんってちょっとどうかと思いまして。
そんな理由から厳選された4枚を展示しております。

左上:私の一級印章彫刻技能士の合格証書
右上:親父の一級印章彫刻技能士の合格証書
左下:私の技術展覧会の金賞の証書
右下:祖父の印章彫刻技能検定員の委嘱状

じゃあそれぞれの実際取得するのに大変な度合いをご紹介しましょう。
※これは私の実体験の感覚を元にしてますので、公に認められてはいない点はご了承ください

まずこの中で一番簡単に手に入れられるのってどれだと思います?
実は・・・
一級印章彫刻技能士
なんです。

こんなコト書いちゃって大丈夫か?
権威を落とすとかって怒られませんように♡

実際全ての印章彫刻技能士、つまり手彫りのハンコ屋さんはこの一級印章彫刻技能士を1つの目標に頑張ってます。
それに厚生労働省が認定する職業能力開発促進法で認められている国家資格になりますので、手彫りの印章を提供する上では必須の肩書きであることも事実です。

ただここでポイントは、エントリーするためには実務経験7年が必要なんです。
資格の詳細はこちらから

ハンコ屋さんとして7年の実務経験必要なんですけが、私の場合は初っ端から全国のハンコ屋さんの下請けの会社に職人として5年間所属してましたから、彫った数が桁違いでした。
そしてあくまで感覚ですが、通常鈴印のようにお店を構えてご注文をいただいて彫る方が一生掛かって彫る量を、職人の5年間で彫りました。
言い換えるなら通常の50年分相当の量を、私は5年間彫ったと思っています。
技術職の場合、まずは数や量は技量の向上に必須ですから、そういった意味でも裏付けになります。

話はそれましたが、要は実務経験7年と言っても、それまでのプロセスによってその方のキャリアは大幅に違ってくるんです。
そして一堂に会して受験するワケですが、その結果はあえて語るまでもないことがお判りいただけるかと思います。
だから私としては一級印章彫刻技能士の資格は、最高峰の肩書きというよりは最低限の資格という認識です。

ま、何が言いたいかっていうと、一級印章彫刻技能士を持っているからってみんな凄いってワケじゃない。
大丈夫か♡

そして次に大変なのが競技会での金賞。
エントリーに技能士の資格は必要ではないんですけど、それこそ全国の腕に覚えのある職人さんが挑み、その中でたった1人の金賞ですからその大変さは想像いただけるかと思います。

ちなみに祖父の技術検定員は、その技能士の検定員。つまり審査員です。

以上の理由から私としては、一級技能士よりも、大勢がトライしてもたった1人しか手に入れられない金賞の方が価値がありますし、私の祖父が持っていた技能検定員なんてのは、それはもう審査員ですからその上。
※現在栃木県では印章彫刻技能検定試験は行われておりません

 

最後に

当然私が世界一の技量を持つ印章彫刻士だなんて思ってなんかおりません。
もちろん私より上の方なんて山ほどいらっしゃいます。
それに昔の偉人の方が彫られた印影や、私の親父や祖父が彫った印影なんかは、今でも毎日見て少しでも盗めるよう努力している身です。

でもそういった基準も、一般消費者であるみなさんが知る機会はほとんどないと思います。
なので少しでも基準となるようなご紹介ができたらと思い、書いてみました。

何度でも言います。
だって職人さんの技量って、本当ものすごく差があるんですから。
良くも悪くも印章は、どこで作っても同じじゃないんです!

 

 

鈴印

〜印を通してお客様の価値を高めたい〜

鈴木延之
代表取締役:株式会社鈴印

1974年生まれ。
A型Rh(+)

1932年創業、有限会社鈴木印舗3代目にして、現プレミアム印章専門店SUZUIN代表取締役。専門店として、印章(はんこ)を中心としたブログを毎日発信。本業は印章を彫る一級印章彫刻技能士。
ブログを書き出したきっかけは、私の親父が店頭で全てのお客様に熱く語っていた印章の価値や役割そして物語を、そして情報が散見する中で印章の正しい知識を、少しでも多くのみなさまに知っていただきたいから・・・
だったのに、たまに内容がその本流から全く外れてしまうのが永遠の悩み♡

一級印章彫刻技能士
宇都宮印章業組合 組合長
栃木県印章業組合連合会 会長
公益社団法人全日本印章業協会 ブロック長

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