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プロが選ぶスタンプ台の使い分け

  1. 印鑑をつくる
  2. 2012 view

ハンコに欠かせない1番の相棒はそう、スタンプ台。
ところがコレがちょっと調べるだけでも膨大な数が存在して、いったいどれを選んだらいいのか?
私自身も仕事柄、これまで様々なスタンプ台を使い比べてきました。
そうして気がつくと自然とそれを手に取っている、そんなスタンプ台を今回はご紹介したいと思います。

ちなみに消しゴムハンコなどでアートとして使うような種類は今回は除き、あくまで一般のみなさんが日常的に使うであろうシーンに特化します。
2013年2月28日に書いたブログですが、全面リライトして2019年1月24日に公開しました。

プロが選ぶスタンプ台の使い分け

実際に私は4種類のスタンプ台を、用途に応じて使い分けています。
なぜならそれぞれに特徴と、メリット&デメリットがあるからです。
メーカーごとに商品の特徴も紹介されていますけど、今回はそれより実際に私が感じている感覚でお話ししていきたいと思います。

普通に事務用に使うならシヤチハタスタンプ台

普段はコピー用紙や一般的な紙に押す場合がほとんどです。
毎日使いますし、回数も多い。だから自ずと簡単に力を入れずに押せるモノをチョイスしがち。
やはりそこは元々スタンプ台製造が発祥のメーカーが、何と言っても一番使いやすい。
数年ごとにモデルチェンジを行なっていますが、その都度良くなるところはさすがの一言です。

【メリット】
1番のメリットは、インクがしっとりたっぷり含んでいるので、軽く押し付けるだけで、それは見事に綺麗に押せます。
だからいつもまず最初に手の届く、一番良い場所を占領しています。
しかもインクの補充をすることなく5年は使い続けられる感じですので、本当ありがたいです。

【デメリット】
速乾という意味では色々知っているだけに、他にもっと優れている商品、例えば次にご紹介するフォアコートなどもあります。
とはいえ日常的に使うにはほとんどストレスもなく、感覚的には約5秒くらいで乾く感じですかね。
それよりはやや光沢がかった紙の場合は、滑るというか滲みやすい感じで不向きです。

メーカー公式サイトはこちらから

チラシやパンフレットなどの光沢がある紙ならシヤチハタフォアコート

チラシやパンフレットの自社名の所などにスタンプを押しますよね?
しかもちょっと奮発して良いチラシを作ると、ツルツルと光沢があります。
そんな時に最適なのがフォアコート。

【メリット】
これぞ速乾、とにかく乾きが恐ろしく早い。
もう押した瞬間に乾いてると言っても過言ではない速度。
ちなみに上で書いたような光沢紙でも、1分も経てば乾いてます。

【デメリット】
速乾の宿命として揮発性、いわゆるスタンプ台のインクが薄くなるのが結構早いです。
きちんと統計は取っていませんが、感覚的に半年で補充が必要な感じ。
しかも補充してもあまり持たずに、その後は1週間ごとに補充しないといけないですね。
現行モデルは蓋も密閉され、揮発性はかなり弱まりましたけど、それでも「あれ?もう薄くなっちゃったの?」って印象は拭えません。

メーカー公式サイトはこちらから

金属、プラスチック、布、革、ゴム、ガラスならシヤチハタタート

まあ正直、私の環境ではあまり使いません。
とはいえここぞとばかりに登場するのが、子供の持ち物のプラスチック製の入れ物などに名前を押す時。
それから革に押す場合ですね。
かなり特殊な環境なんですけど、そんな時はコレじゃないと、触った瞬間に消え去ってしまいます。
形状が密閉型なので厳重に密閉しつつ同封のアルミの保管袋に入れ、年に数回程度ですけどないと困るんですよね。

【メリット】
とにかく何にでも押せます。だから迷ったり困ったりしたらコレ。
以前下着に押して洗濯テストを行いましたが、何回洗っても落ちない最強のスタンプ台。
お子様の持ち物なんかには、片っ端から使えてとっても便利です。

【デメリット】
強力に捺印できるということは油性が強く、長く繰り返し使っているとゴム印を痛めるというか、溶けます。
だから長く使いたいのであれば、ゴムも耐油性が必須になります。
また揮発性も物凄く高いですから、半年ほど置いて久々に使おうとすると、よく写らなくなっています。
そのために溶剤は必須。

固まった盤面に塗って溶かしながら使うという、ちょっと扱いが難しいのが難点です。

メーカー公式サイトはこちらから

冠婚葬祭の名前ならサンビー慶弔スタンプ台

冠婚葬祭の時に熨斗袋や香典袋の表にゴム印を押しますよね?
そんな時はコレが一番便利です。
おめでたい時は普通に黒いスタンプ台でもいいんですけど、お葬式などの香典には薄墨がマナー。
悲しくて涙で墨が薄くなるという理由で、薄墨を使います。
こちらのスタンプ台の最大の特徴は、濃いインクも薄いインクのどちらも1つで賄える点。
だから名前のゴム印と一緒にしておけば、いざという時に慌てなくて済みます。

【メリット】
1つで冠婚葬祭全てが賄える点が最大のメリットです。

【デメリット】
逆にそれ以外にはほとんど活躍の場がないのがデメリットか。

メーカー公式サイトはこちらから

インクの補充と交換のタイミング

全てのスタンプ台に共通するのですが、あくまで個人的な意見を言わせていただきますと、インクの補充が必要になったら新しいスタンプ台に交換しちゃった方が簡単。
メーカー各社「インクの補充で〇〇回使えます」とうたっていますので私も以前はそれに従っていましたが、結局一度インク切れを起こすと盤面が劣化するんですかね?
とにかく浸透は遅いし、補充の頻度は週1とかじゃないとすぐ乾いちゃうしでイライラしちゃうんです。
それなので思い切って新調すると、それまでのストレスがなんだったのか?ってほど快適な環境を取り戻します。

もちろんメーカーの保証回数は間違いありませんから、その先の判断はそれぞれにお任せします。
ちなみにいずれも補充インクの互換性は全くありませんから、それぞれ専用をお求めください。

最後に

サイズもそれぞれ色々出ていますけど、スタンプ台に関しては「大型」が一番使いやすいです。
一般的に「中型」を選ばれる方が多いと思いますが、スタンプ台は絶対に大きい方が使いやすい。
なぜならその分、狙いを定めるのが雑でいいから。
なんとなくよそ見しながらでも、しつこい営業の電話の応対をしながらでも、確実にインクを付けられます♡
まあデスクやご使用の環境も様々ですので、必要に応じてご判断ください。

私たちのような専門店ですと特有のメーカーさんとのしがらみも強くどうしても「推し」が出てしまうんですけど、おかげさまでそれほどでもないので、偏らずに自分の偏見で自由に書かせていただきました。
ゴム印が写らない原因は、ほぼほぼこのスタンプ台の影響が大きいです。
「最近綺麗に押せないんだよな?」
そんな時は一度スタンプ台を変えるだけで劇的に改善されますので、お試しあれ。
それでもダメな場合にのみ、ゴム印を疑ってみてください。

 

 

鈴印

〜印を通してお客様の価値を高めたい〜

鈴木延之
代表取締役:株式会社鈴印

1974年生まれ。
A型Rh(+)

1932年創業、有限会社鈴木印舗3代目にして、現プレミアム印章専門店SUZUIN代表取締役。専門店として、印章(はんこ)を中心としたブログを毎日発信。本業は印章を彫る一級印章彫刻技能士。
ブログを書き出したきっかけは、私の親父が店頭で全てのお客様に熱く語っていた印章の価値や役割そして物語を、そして情報が散見する中で印章の正しい知識を、少しでも多くのみなさまに知っていただきたいから・・・
だったのに、たまに内容がその本流から全く外れてしまうのが永遠の悩み♡

一級印章彫刻技能士
宇都宮印章業組合 組合長
栃木県印章業組合連合会 会長
公益社団法人全日本印章業協会 ブロック長

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