過去ブログ一覧

月を選択してください

カレンダー

2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

人という字は人と人が支え合っていません!

  1. 社長ブログ
  2. 27724 view

人という字は支え合っていません

ちょっと前にネットを見てましたらこんな記事が載ってました。
武田鉄矢が金八先生での名言を否定「人という字は支え合っていない」

あの金八先生の名言を否定したって記事ですね。
ワタクシも完全金八世代ですから、これは見逃せない。
だって「人が人を支えると」信じてましたから。
2014年11月25日に書いたブログですが、リライトして2018年5月14日に公開しました。

まず、覚えてる方も多いと思うんですが、ちょっとおさらいしてみましょう!
金八先生はドラマの中でこんな名言を残していました。

君たちいいですか〜。人という字はねぇ、ひとりの「人」がもうひとりの「人」を支えている字です。つまり、人と人が支え合ってるから人なんです。人は人によって支えられ、人の間で人間として磨かれていくんです。

名言ですね!
ワタクシも当時は非常に感銘を受けたのをよく覚えておりますよ。
これを先ほどの記事では否定したって事。

井ノ原の「快」、有働アナの「有」と、2人の名前に使われている漢字をそれぞれ解説したところで、有働アナは「“人”という字は、人と人が支え合ってできているというのは本当でしょうか?」という視聴者の質問を紹介した。
すると、武田は「これは白川先生がどっかでハッキリおっしゃったらしいんですが…“人”という字は支え合っておりません!」と断言し、かつての名言を自ら完全否定した。
〜中略〜
武田の解説によると、人という文字は、甲骨文字で人間を真横から見た形だという。

livedoorニュースより

ただこの記事を見ただけだとイメージは伝わるけど、よく分かりませんよね?
なので詳しく解説してみたいと思います。

 

「人」の文字の成り立ち

漢字には必ずその成り立ちがあり、その過程の一部をまとめて書体と呼ばれております。
辞書を見るとこんな感じですね。

漢字の種類

そして古い順に並べると、これがちとややこしい。
大きく2つの流れがあります。

  1. 甲骨文字→篆書→隷書→楷書→行書
  2. 甲骨文字→篆書→隷書→草書

の2つ流れ。

 

今回の「人」の解釈は篆書から楷書までの流れなので1が対象になります。
そしてその順に並べなおすと以下。

人の字の変遷

一番上の漢字の基本となる甲骨文字≒篆書が「人間を真横から見た形」になり、支え合っているのではなく自立しているのが分かります。
それが隷書として変化をくり返し、今の楷書になっています。
非常に長い歴史なので、同じ書体でもかなりの違いが出てしまうんですね。

 

白川静氏による学説

上記のリンクには以下の内容があります。

武田は、漢字の“生まれ方”はいろいろあるとしたうえで、日本の漢文学者・白川静氏による甲骨文字の学説を元に解説することに。

では改めて白川静氏の常用字解から引用したいと思います。

象形。
立っている人を横から見た形。「ひと、人間」をいう。
手足をひろげて立っている人を正面から見た形は大。体をかがめた人を横から見た形は勹(ほう)、人の胸に×形の文身(一時的に描いた入れ墨)を加えた形は匈(きょう)で胸のもとの字、妊娠して腹の大きな人を横から見た形は身、人の腹の中に胎児のいる形は包・孕(はらむ)で、みな人の変形した形である。人(儿じん)が頭上に火の光を載せている形は光 〜中略〜 踵をあげて爪先立ちをしている人を横から見た形は企である。
白川静常用字解より引用

「人」という字はただの横から見た形。
つまりここから考えますと、ひとりで立って生きていくもの・ひとりで立てて一人前なんて解釈になりますかね。

 

最後に

文字の歴史を紐解くと、例えば上記の漢字のルーツでもあり実印などの文字でもある篆書も、まとめられたのは秦の始皇帝の時代。
紀元前200年以上も前のお話です。
それから長い年月をかけて変化、進化して今の楷書に至ります。
だから物語が諸説生まれてもなんら不思議はありません。
とはいえ学術的なまとめが今回のブログになりました。

これを機に漢字というモノに興味を持っていただけましたら嬉しい限りです。
私自身は今でも、金八先生の教えは大好きですから。

 

 

鈴印

〜印を通してお客様の価値を高めたい〜

鈴木延之
代表取締役:株式会社鈴印

1974年生まれ。
A型Rh(+)

1932年創業、有限会社鈴木印舗3代目にして、現プレミアム印章専門店SUZUIN代表取締役。専門店として、印章(はんこ)を中心としたブログを毎日発信。本業は印章を彫る一級印章彫刻技能士。
ブログを書き出したきっかけは、私の親父が店頭で全てのお客様に熱く語っていた印章の価値や役割そして物語を、そして情報が散見する中で印章の正しい知識を、少しでも多くのみなさまに知っていただきたいから・・・
だったのに、たまに内容がその本流から全く外れてしまうのが永遠の悩み♡

一級印章彫刻技能士
宇都宮印章業組合 組合長
栃木県印章業組合連合会 会長
公益社団法人全日本印章業協会 ブロック長

記事一覧

関連記事

ダイエットモスバーガー♡

先日、モスバーガーで打ち合わせでした。日々食べ物を記録しているワタクシとしましては、気になるのがカロリー。ちょいとバタバタだったので、残念ながら事前に確認しておく…

  • 92 view

革に刻印する方法

革に刻印されてるのって見た事ありますよね?革の表面に柄や文字が凹んで刻印されてるヤツ。こーゆーのですね!実はこれって・・・…

  • 4116 view